日本の童話

どんぐりと山猫のあらすじと教訓!誰が一番偉い???

山猫

みんな誰かより優れているとか偉いと言われたいです。

でもそれは、現実のことではなく、あてにならないものかも知れないのです。

どんぐりと山猫のお話は、主人公の一郎が認めてもらうことを探しに行くお話です。

ではどんぐりと山猫のあらすじを見ていきましょう。

 

どんぐりと山猫のあらすじ

 
ある日、変なはがきが一郎のうちに届きます。

その手紙は山猫からの物で、「明日めんどうな裁判をしますので、来てください。」という内容でしたが、とにかく字が下手でなんとか読めるような物だったのです。

でも一郎はうれしくてはがきを学校のかばんにしまって、うちじゅうを飛び跳ねたりしてよろこびました。

一郎はその晩うれしくてなかなかねむれません。

ですので、次の朝起きた時にはとっくに明るくなっていたのです。

一郎はさっさとご飯を食べて谷川の上の方に向かってあるきだしました。

途中で栗の木に山猫を見なかったか聞いてみますと、「けさ早く、馬車で東の方へ行きましたよ。」と教えてくれます。

そしてもう少し行くと、笛吹の滝がありました。

笛吹の滝というのは、真っ白い崖の真ん中に小さな穴があいて、そこから水が笛のように飛び出しているところです。

一郎は笛吹の滝にも山猫を見なかったか聞いてみます。

すると、「山猫はさっき西の方へとんで行きましたよ。」と教えてくれました。

そんなふうにきのこに聞いたり、りすにも聞いてみます。

そして、あっちこっちと違う方向を教えられたのですが、一郎はひとまず進んでみることにします。

そうすると、谷川に沿った道は細くなり、森の方へ小さな道がありましたので、そこを通って歩いて行きました。

それから、急な坂を上りきるとそこは美しい金色の草地で、周りはオリーブの木で囲まれています。

すると、草地の真ん中には小さなおかしな男が皮のムチを持ってたっていたのです。

その男は片目で見えない方の目は白くてビクビク動いていて、足はまるでヤギのように曲がっていて、足先はしゃもじのような形をしていました。

一郎は勇気をだして、山猫の事を聞いてみます。

すると男はニヤッとわらって、「山猫さんはすぐ戻っておいでになる。」と教えてくれました。

その時風がふいて、振り返ってみますと、山猫が黄色い陣羽織のようなものを着て、緑の目をした山猫がたっていたのです。

山猫は「じきにどんぐりどもがまいります。毎年この裁判でくるしみます。」と言いました。

そうしているうちに、足元でパチパチはぜるような音がして、草の中に金色の丸い物がキラキラ光っているのが見えます。

さらによく見てみますと、それはみんな赤いズボンをはいたどんぐりだったのです。

そして、みんなわあわあと何か言っていました。

すると、先ほどの変な男が鈴をがらんがらんと鳴らすとどんぐりはだんだん静かになります。

そしていつの間にか山猫は黒いサテンのようなツルっとした服を着て座っていたのです。

それから、山猫は「裁判もこれで三日目だ。いい加減、仲直りしたらどうだ?」っとどんぐりたちに言います。

すると、どんぐりは口々に「いいえ、何といっても、頭のとがっているのが一番偉いのです。」と言ったり、「いいえ、まるいのが一番えらいのです。」と言ったり、「大きいのが一番偉いのです。私が一番おおきいので一番偉いのです。」と口々に言ったのです。

他にも背が高いのとか押しっこの強いのとかみんながやがやと言い始めて何を言っているのかわからなくなりました。

ですので、山猫は「やかましい!しずまれ!ここをなんだと思ってる!」と叫びます。

そして、変な男はムチをパチッと鳴らします。

静かになった所へまた山猫は「裁判もこれで三日目だ。いい加減、仲直りしたらどうだ?」と言うと、また頭がとがったのが一番とか、まるいのがえらいとか言い出すのです。

すると、山猫はまた「ここを何だと思っておる!しずまれ!しずまれ!」といいます。

こんな調子ですから山猫は一郎に「どうすればいいでしょう?」とそっと聞きました。

なので一郎が何かを提案すると、山猫はどんぐりたちにこういいます。

「しずかにしろ!申し渡す!この中で一番偉くなくて、バカでめちゃくちゃで、全然なってなくって頭のつぶれたやつが、一番偉いのだ!」

すると、どんぐりはしいんとして、黙って固まってしまいました。

山猫は一郎の手を取り、「どうもありがとうございました。どうかこれから私の裁判所の名誉判事になってください。これからもはがきが行ったらどうか来てください。」

一郎は「承知しました。」と答えました。

そして、一郎は今日のお礼に金のどんぐり一升と、塩鮭の頭とどちらがいいか聞かれ、金のどんぐりをもらうことにします。

それから山猫は、白いおおきなキノコで出来ていてねずみ色のおかしな馬がついた馬車を用意してくれました。

2人が乗り込んだ馬車は草地を離れ、木ややぶがグラグラゆれます。

馬車が進むにしたがって、どんぐりは段々光がなくなって、馬車が止まった時は茶色のどんぐりにかわっていました。

そして、山猫も馬車もみんな一度に見えなくなって、一郎は自分の家の庭にどんぐりを入れた升をもって立っていたのです。

それからもう二度と山猫からはがきは届く事はありませんでした。

おしまい。

どんぐり
 

どんぐりと山猫の教訓

 
このお話の教訓は、人が人を評価する基準は時によっても、人によっても考え方よっても変わるので、全くあてにならないという事です。

ですから、誰が一番か?誰が偉いか?などと主張する事は無意味だという事です。

人であろうとどんぐりであろうと、他の人と比べて偉いとか優れているとかを決めようとする事は全く意味がありません。
 
まずこのお話を読んで疑問に思った事が、偉いとか偉くないとかの意味です。

調べてみると、「偉い」の意味は社会的地位が高い。普通よりも優れている。人間として行いが立派。等です。

確かに『会社の偉い人』という言い方をしますよね。

そして、子供が何か良い行いをした時、ほめるときに『偉かったね。』と言います。

なんとなく意味はわかりましたが、使う相手にもよりますし、基準にするものでも違うようです。

このお話の中では、どんぐりたちは頭がとがっている方が偉い・・とか、丸い方が偉い・・・とか、大きい方が偉いとか一番言うのです。

どんぐりたちはこの偉いの基準でもめています。

一郎はどんぐりたちをを「この中で一番バカでめちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが一番偉い。」という言葉で黙らせたのです。

どうして、どんぐりはこの言葉を聞いてだまったのでしょうか?

それは、どんぐたちが偉いと思っている基準とは全く違ったからではないでしょうか?

例えば、今まで良い事をして、「偉い。」とほめられた事のある子供が、自分でも悪いと思う事をして、「偉い」とほめられたら、混乱するでしょう。

このお話の作者(宮澤賢治)は、人が偉いとほめたり良いと評価する基準は時によっても、人によっても場合によっても違い、不安定でその時によって変わるので、あてにはならないという事を言いたかったのでしょう。

 
では、自分が一番であるとか自分が偉いと主張する人にとって、その事はどんな意味があるのでしょうか?

そして、どういう気持ちで主張するのでしょうか?

例えばはかなり年配の男性のお客さんに多いのですが、雑談の中で今まで自分がどれだけ良い学校を出て、会社の中でどれだけ高い地位にいたか、自分がどれだけたくさんの事を知っているかを話したい方がおられます。

さて、こういう方々はどうして『自慢話』としか思えない事を言いたいのでしょうか?

これは、『自分は唯一の自分である。』という確信が持てずに自信がないことが原因の1つでしょう。

●自分がどれだけ偉いか自慢をする。
      ↓
●相手が自分の事を偉い人だと認識してみとめる。(と感じることができる)
      ↓
●相手より優位に立ったことを確認して、自分のことをみとめる事ができる。
      ↓
●人の目を通して自分が偉いと言われる事で自分という者を認めて安心する。
      ↓
●だから誰かと自分を比べて、自分が偉いと確認したい。
      ↓
●自分がどれだけ偉いか自慢する。
      ↓
    くりかえし

 
こう考えていくと、自分が一番であるとか自分が偉いと主張する人は、自分が相手の優位に立つことができて初めて自分の事を認めることができるのです。

そして、自分が優位に立った事を確認出来て初めて相手との関係を確立でき、相手をみとめる事ができます。

ですが、人を評価する基準はその時や人や考え方でかわるので、自分が優位に立ったと思う事はその人のただの自己満足です。

でも、『自分は唯一の自分である。』という確信がもてない人には優位に立つことが必要なのです。
 
そして、このお話は宮澤賢治が人に認めてもらいたいという願望を描いているのではないかと思います。

このお話の中にはほめるとか認める事にかかわる場面がたくさん出てきます。

どんぐりたちの場面はたくさんの小さなどんぐりが自分が一番だと主張します。

それから、このお話の小さなおかしな男は自分が代筆した手紙について、一郎に「文章は下手だろう。字はどうだ?上手いか?」と聞くのですが、一郎がほめると大変喜ぶのです。

そして、一郎自身も裁判を手伝ってくれと言われ、実際に裁判でうまく解決策を提案して、山猫に感謝されます。

その上また来てくれとも言われて喜びます。

 
ですが、家に帰るとどんぐりは金色ではなくなって、全部消えてしまい、二度とはがきは届かなかったのです。

宮澤賢治は自分の文章や、人としての考えを認めてほしいけれども、結局それは夢かまぼろしか、現実の事ではないという事が言いたかったのでしょうか?

 

どんぐりと山猫の原作

 
宮澤賢治は日本の詩人、童話作家です。

1933年37歳で死去。

どんぐりと山猫は作品集『注文の多い料理店』に収録されている。
 

まとめ

 
このお話の教訓は、、人が人を評価する基準は時によっても、人によっても考え方よっても変わるので、全くあてにならないという事です。

『どんぐりの背比べ』ということわざがあります。

意味は、どれも似たりよったりで大差がなく、たいした事がないという意味です。

あまり良い意味ではないようです。

宮澤賢治はこの『どんぐりの背比べ』ということわざを意識してお話を作ったのでしょうか?

『偉い』の意味は一説には「違う。」という漢字からきていて、人べんをつけて、「人と違う。」という意味もあるとか。

     

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