
「人間はいつかは死ぬからね。それが早く来るか、遅く来るかだけで・・・」
最近、自分の父と義父を看取った友達が私に言いました。
私はショックでした。それと同時にそうだったなと、思い出したように納得しました。
本当にそうなのです。
ただ、そんな事は普段全く忘れて生活しています。
忘れているから、なんとなく毎日生きているのでしょう。
このお話を読むと、そんな限られた時間をどう生きればいいかのヒントが見えてきました。
それでは、『ブレーメンの音楽隊』のあらすじから見ていきましょう。
目次
ブレーメンの音楽隊のあらすじ
役に立たなくなった、ろばと犬と猫
ある町に、1頭のろばが毎日休まず、麦の袋を運ぶ仕事をしていましたが、歳をとってだんだん力が弱くなり、役に立たなくなってきました。
そこで、ろばの飼い主は、もうろばに餌をあげるのはやめることにしたのです。
ろばはその事を感じ取り、家を出てブレーメンに行って音楽隊に入隊することに決めました。
しばらく歩くと、猟犬がとても疲れ果てている様子で横になっている所に出会うのです。
すると犬は「歳をとって、りょうに出られなくなったから、おれをぶち殺そうとしてるんだ。」と嘆きます。
そこでろばは、「どうだい?お前さんも一緒にブレーメンに行かないか?そこで音楽隊に入隊するつもりだ。」と言い、犬はろばについて行くことにしました。
ちょっと歩くと、落ち込んだ表情で猫が1匹座っています。
猫は、「私が歳をとって、ねずみを捕まえることもできなくなってきたから、私をおぼれさせて殺そうとしたんだよ。」と言うのです。
ろばは「わしらと、ブレーメンに行くというのはどうだい?」と猫を誘うと猫は承知して、一緒に歩きだしました。
悲しいおんどり
まもなく、3匹は、大きな声でないている、おんどりを見かけるのです。
おんどりは「明日は、僕はスープになってしまうんだ。今夜でさよならだ。だから好きなだけ今のうちにないてるんだよ」と言いました。
ろばは「わしらといっしょにブレーメンへ行こう。みんなで音楽隊をやろうじゃないか。」と伝えると、おんどりは賛同し、4匹で、先を目指します。
ブレーメンへの旅
日が沈むころに途中の森に一晩とどまることにしたのです。
すると、少し離れた所に明かりがひとつ付いているのが見えます。
みんなで明かりの方向へ向かっていくと、1軒のちいさな家に着き、そこは、どろぼうが住んでいる家でした。
一番背の高いろばが中をのぞくと、「どろぼうがテーブルを囲んで、おいしそうに食事をしているよ。」と言うのです。
ですからみんなで相談し、まずろばが前足を窓枠にのせて、その背中に犬が乗り、犬の背中に猫がのりました。そして、おんどりは、猫の頭に乗りました。
それから4匹はいっせいに、大声を上げ、窓ガラスを割って中に飛んではいります。
どろぼう達は、びっくりして、外の森の方へ逃げていきました。
そこで、4匹はお腹いっぱいごちそうを食べたのです。
満足した皆は、明かりを消して、ろばは庭に、犬は扉の近くに、猫はかまどの近くに、おんどりは天井ちかくのはりに、落ち着きました。
さて、明かりも消えたので、どろぼうの子分が家の様子を見に戻ってきます。
そっと家にはいった子分は、明かりをつけようとして、猫にこっぴどく引っかかれるのです。
おどろいた子分は、裏口から出ようとしてこんどは犬に足をかまれてしまいます。
今度は中庭を駆け抜けようとすると、ろばが後ろ足で蹴り飛ばしました。
そして、おんどりは「コケコッコー!」と大きな声で鳴きます。
子分は親分に「あの家には恐ろしい魔女がいますぜ!魔女が長い爪でひっかいて、ナイフを持った男が足を突き刺し、中庭にはでっかい怪物がいて、木の棒で俺をなぐったんです!それに、裁判官が最後に『そのどろぼうをつかまえろー!』と叫んだんだ。もう少しで殺される所だったんです!」と報告したのです。
ですから、どろぼう達はもう二度と戻っては来ませんでした。
それから、4匹の音楽士たちは、ずっとその家で暮らしました。
おしまい。
ブレーメンの音楽隊の教訓
教訓1
まず1つ、このお話が取り上げているのは、老人問題と働くこととお金の問題です。
ろばは毎日毎日、一生懸命働いてきたのに、歳をとったからと言って、餌ももらえなくなる
のは不幸すぎます。
飼い主は、そんなことはしたくなかったのですが、毎日仕事をしているのにも関わらず、経済的な余裕がなかったのです。
次に出会う犬も、猫も、同様で、とても残酷な殺され方をされそうになったのですが、実は貧しい家で辛い思いをしながら生きるよりも、いっそのことひとおもいに・・・。という事でしょう。
なぜ、音楽隊だったのかは、ろばがやりたかったことで、まず、思いついたのが音楽だったのでしょうか?
晩年は好きなことをやりたかったのでしょう。
私はこのお話しを読んで、まず、こんな映画を思い出しました。
題名は思い出せないのですが、昔あった映画で、歳をとった人(30歳くらい)から順番に楽園に連れていくとだまされて、宇宙へほうりだされてしまう話。
たしか、地球人がどこかの星に移住してスペースが限られているから・・・だったような。
私たちの老後は、どうなってしまうのでしょうか?
なんだか安心出来ない時代になってしまいました。
いったいいくらお金があれば、死ぬまで心配せずに暮らせるのでしょう?
日本にも何が起こるかわかりませんし、介護の問題、年金の問題と、心配なことは山ほどあります。
私たちは、晩年は、好きなことをして暮らせるでしょうか?
この問題は世の中まかせではいけないですね。
自分で何か解決策を考えなければいけません。
教訓2
そしてもう1つ、このお話が取り上げているのは、生まれてきた場所や育ってきた環境や立場で、将来が制限されることはないという事です。
このお話の中では、最後に仲間になったおんどりだけ、歳をとって、殺される訳ではないのです。
でもおんどりは、逃げもせず、死ぬ覚悟で、明日には鳴けなくなるからと、大きな声で悲しそうに鳴いているのです。
もともと、卵を産まないおんどりは役に立たないから、いずれ殺される運命を受け入れているのでしょう。
しかし、それは、間違っていることに気がつかなければいけません。
要するに、こういう運命だからとか、生まれたのがこんな家だからとか、そんな事は関係なく、人は何物にも成ることができて、そうすることを許されているし、やりたいことをするべきです。
例えば私は、普通のサラリーマン家庭に生まれましたから、芸術家になったり、事業家にはならないものだと思いこんでいました。
そして、進学の時も、その学校に行って、就職して、食べていけるか、食べていけないかで判断しました。
でも、もっとやりたいこと、自分に向いていそうな事を基準に選んでも良かったのではないか?と今は思います。
人間はいつか死ぬのです。それが、早く来るか、遅く来るかです。
できることなら、何か納得できる事を1つでもやり遂げたいものです。
さて、それではこのお話の作者はどういう人物だったのでしょうか?
ブレーメンの音楽隊の原作
「ブレーメンの音楽隊」は『グリム童話』の中の1篇として出版されています。
ドイツのグリム兄弟=ヤーコプとヴィルヘルムが、ドイツの一般の人々の口から口へ伝わってきたお話を元に書きました。
兄弟の父親は法律家ですが、その父親がなくなってからは、苦労して育ったようです。
しかし、兄弟は2人とも立派な学者になっています。
まとめ
ブレーメンの音楽隊の教訓は、人は誰でも、生まれた所や育った環境にかかわらず、将来はやりたい事をし、なりたい者になれるという事です。
難しいことかもしれませんが、子供にも自立して、そして好きな事をしながら、後悔しないように生きていって欲しいなと思います。