
私が子供の頃はまだ、土や砂利道があり、裏庭から神社に抜けると、たくさんの木があって、夏にはせみが鳴いていました。
アスファルトやコンクリートばかりだと、息がつまってしまう気がします。
でも、こどものときから、そんな都会で育つと、自然はあまり恋しくないのでしょうか?
それでも、人には生きていくのに必要なものがあります。
この『ちいさいおうち』のおはなしには、生きていくのに大事なものが書かれています。
ここからは、『ちいさいおうち』のあらすじを見ていきます。
ちいさいおうちのあらすじ
むかし、静かないなかに、ちいさいきれいなおうちがありました。
そのおうちは大変丈夫に作られていたのです。
そして、まわりの景色は季節ごとにかわりました。
春は、くさもみどりに変わり、りんごの花がさきます。
夏になると、おかはひなぎくのはなで白くなったのです。
リンゴは赤くなりだしました。
秋がくると、木の葉は赤や黄色に染まりました。
そして、リンゴつみがはじまるのです。
冬になると、あたりは雪で真っ白になります。
小さいお家は、それをずっと座ってみていました。
そして、遠くのまちの明かりをみて、「まちって、どんなところなんだろう。」と思っていたのです。
ところが、やがて、まがりくねった道を自動車が走るようになり、その数は増えて、馬車は減っていきます。
それから、たくさんの建物が、ちいさいおうちを取り囲むように建てられました。
夜になってもまちの明かりは消えず、「もうここはまちになってしまったのだ。」とちいさいおうちはおもいます。
でもまちはあまり好きになれませんでした。
そして、空気は汚れて、ほこりまみれになります。
小さいお家はいつが春で、夏で秋で冬かまったくわからなくなりました。
一年中同じようだったのです。
そのうちに、ちいさいおうちの周りの建物はビルに建て替えられました。
そうなってしまうと、ちいさいおうちは、お日様は全然見えなくなったのです。
そうするうちに、ちいさいおうちは、すっかり、みすぼらしくなってしまいます。
壁や屋根はむかしと変わらず、しっかりとしているのに、ペンキははげ、まどは壊れてしまっていました。
ところが、ある朝、この家を建てた人の孫の孫のそのまた孫にあたる人がやって来て、ちいさいおうちの引っ越しをたのみます。
ちいさいおうちは車にのせられて引っ張られていき、緑があって、鳥の鳴き声がする小さな丘に置かれました。
まわりにはリンゴの木があります。
ちいさいおうちは悪い所はすべてなおしてもらって、昔と同じ、うすいピンクでぬられたのです。
ちいさいおうちはうれしそうににっこりしました。
また、お日様もみえ、お月様も星も、見えます。
それから、春も夏も秋も冬もながめることができます。
ちいさいおうちは、もう二度と、まちに行きたいと思う事はないでしょう。
おしまい。
ちいさいおうちの教訓
このお話の教訓は、自然の偉大さです。
自然の中に行き、自然の一部だと実感することは、大事な事です。
特に、昔から身近に自然を感じて生きて来た人は、原点にもどった気持ちになることができるでしょう。
緑の中はとてもすがすがしく、深呼吸するだけでも、すっきりします。
自然の中に身を置くと、自然の偉大さに圧倒されて、自分はちっぽけなものに感じ、毎日自分が気にしている事など、どうでもいいような気にさえなるのです。
例えば、富士山に登ります。
すると、わかりやすく、空気がうすくなり、素人ははげしい動きは出来なくなり、スナック菓子の袋はパンパンになり、紫外線はきつくなり、てっぺんは、風をさえぎるものがなくなります。
そして、少し足を踏み外すと、ころげ落ちます。
人の力ではどうしようもない事がたくさんあります。
だから、人間はちっぽけだなあと思います。
他に例えば、大きな木を見上げた時も、その大きさもそうですが、何千年と生きて来た木に圧倒されます。
ずっとそこに立ち続け、周りを見下ろしてきたのです。
想像するだけで、すごい事です。
それに例えば、近所の公園に行って、季節の花や葉を見て、繊細な透け感やつくりを観察したりするだけでも自然のちからを感じられるのではないでしょうか?
自然の偉大さを感じる事は、人が自然の中で謙虚に生きる為に大切なことでしょう。
それから、都会でくらすと、朝や晩、季節も感じられなくなります。
このお話の中では、ちいさいおうちがお日様が見えなくなり、季節もわからなくなって、悲しみます。
人の体は、ただ、寝たり起きたり、ちょうどいい温度の所でくらせばいいというものではありません。
朝は朝日にあたり、夕方は、夕日をみて、夜は月の光をみて、太陽の動きを感じ、体内時計を調整しています。
そして、季節も暑いときは暑さを感じ、寒いとき寒さを感じる事で、体温を調整する機能が発達するのです。
それから、高層マンションでくらすと、重力の影響が少なくなり、不安になると言われています。
重力を感じる事は、これも、地球に住む生物としての機能を正常化するのにやくだっています。
最近では、都会で暮らす子も、高層階で暮らす子も、土の上で子供同士で遊ぶことが少なくなり、人との関わりや、コミュニケーションが苦手になってきていると言われているのです。
小さいときから、自然の中で遊び、土や木や草を身近に感じる事で、命の大切さや、地球の自然の中で生かされていることを実感することができます。
自然の中にはまだよくわからない事や、解明されていない事や、知らない事がたくさんあります。
そのことに興味をもって、自分で疑問を発見して、調べる事が大切です。
テレビで見て、ただ、「ふ~ん、そんなこともあるんだなあ。」と物事を知るのとはまた違います。
自分で疑問に思って調べた事は、見た物ばかりではなく、その時の肌触りや、においや、音や、声や、感覚全部がいっしょに記憶に残るのです。
だから、いつまでも記憶に残り、時間がたってからも、そこからまた出て来た疑問を調べてみたり、興味を持ったりするのです。
本や、テレビでみた知識も大事ですが、自分で体験して、でてきた疑問を自分で解決することはとても大事です。
ちいさいおうちの原作
アメリカ合衆国の絵本作家によって書かれました。
もっともすぐれた絵本に送られる、コールデコット賞を受賞している。
ディズニーによって、映画化されています。
まとめ
この『ちいさいおうち』の教訓は、自然の偉大さです。
自然の偉大さを感じる事は、人が自然の中で謙虚に生きる為に大切なことです。
私は、たまに、公園に散歩にいくだけでも、ストレス解消になります。
緑って大事だなあと思います。