
赤や、青や、紫に緑。
この『ちびくろさんぼ』のお話は、色とりどりで、とても美しい場面が出てくるお話です。
そして、自然界では当たり前ですが、ちょっとこわいお話でもあります。
ですが、子供は、動物が出てきて、美味しい物がでてくるこのお話が大好きです。
そんな『ちびくろさんぼ』のあらすじからみていきます。
ちびくろさんぼのあらすじ
さんぼの新しい服
あるところに、ちびくろさんぼという、かわいい男の子がいました。
おかあさんはまんぼ、おとうさんはじゃんぼといいます。
おかあさんのまんぼは、さんぼに真っ赤できれいな上着と、青いきれいなずぼんを作ってあげます。
お父さんのじゃんぼは、きれいな緑色のかさと、底と内側が真っ赤なかわいい紫色のくつを買ってくれたのです。
これだけ揃ったら、さんぼはどんなに立派に見えることでしょう。
ですので、さんぼはそれらを全部身につけて、ジャングルへ散歩にでかけます。
少し行くと、とらが出て来て、「ちびくろさんぼ!お前を食べちゃうぞ。」と言うのです。
だから、さんぼはとらに「とらさん、僕をたべないで!ぼくのきれいな赤い上着をあげるから。」といいます。
すると、とらは、「今回は食べないでおいてやろう。」と、赤い上着をもらって大満足です。
「おれさまは、ジャングル中で、一番りっぱなとらだ!」と行ってしまいました。
そして、また少し行くと、別のとらが出てきます。
「お前を食べちゃうぞ!」と、とらは言い、今度は青いズボンをあげたので、食べられませんでした。
すると、とらはさんぼのずぼんをもらって、「おれはジャングル中で、一番りっぱなとらだ!」と行ってしまいます。
また少し行くと、また違うとらが出てきて、今度は、紫色のくつを耳につけてあげるのです。
ですので、「おれさまはジャングル中で、一番りっぱなとらだ!」と行ってしまいます。
少し行くと、また別のとらが出て来て、緑色のかさをしっぽに結び付けてあげます。
そしてとらは、かさをもらって「おれさまは、ジャングル中で、一番りっぱなとらだ!」といいながら行ってしまいます。
ぐるぐるまわるとら達
とら達に全部取られたさんぼは泣きながら、歩いていきますと、どこからか、とらの恐ろしい声が聞こえてきたのです。
ですので、さんぼは、大急ぎでヤシの木の陰にかくれます。
すると、とら達がみんなで、「おれが一番りっぱなとらだ!」と言い合って、けんかをしていたのです。
そして、上着も、かさも、ずぼんも、くつも放り出して、かみつきあったり、ひっかきあったりしています。
さんぼは、とら達に、着物やかさはもういらないのかききますが、とらはしっぽをくわえたままで、うなるばかりでした。
ですので、さんぼは、きものをきて、かさをさして、行ってしまいました。
それをみて、とら達は、もっとおこりましたが、それでも、しっぽをはなそうとしません。
それで、腹立ちまぎれに、相手のとらをたべようとして、もっと早く、ぐるぐる木のまわりを駆け回ります。
そして、ぐるぐるまわっているうちに、みんなドロドロにとけてしまいました。
後には、バターの池がのこって、お父さんのじゃんぼが、つぼにいっぱい入れて、持って帰ります。
それから、お母さんのまんぼはとらのバターを使って、おいしそうなホットケーキを、山盛りに作ったのです。
そして、みんなで、たべたのです。
おしまい。
ちびくろさんぼの教訓
このお話の教訓は、見た目ばかり気にして自分をよくみせようとばかりしていたら、それが本当に必要かどうかわからなくなるのです。
物欲ばかりを満たそうと、手に入れる事を優先していたら、一体本当は何が欲しくて、何が必要だったかわからなくなってしまうのです。
このお話では、かさは、さんぼにとったら意味のあるものです。
でも、とらは、雨にふられてもそんなに問題はなさそうだし、第一、ずっとしっぽにかさをつけているのは、何か変です。
そして、2本足用のくつはサンボにはとても良い物なのです。
しかし、とらにとったら、くつを耳につけて邪魔だったり、聞こえにくかったりして、そんなにいいものではありません。
服だって、とらはふつう服は着ないですし、ふくを着ているとらを、とらが思っているように、特にりっぱだとは思えないのです。
そして、結局は、さんぼにもらった服やくつやかさを放り出します。
例えば、くつや、服を、たくさん持っている人がいます。
どう考えても、そんなには、はけないだろうとか、着られないだろうという数の服や靴をもっているのです。
服や靴が好きで買うのはまだいいのですが、ストレス解消のために、ついついそんなに欲しくないものを買ってしまったりします。
あとで、どうして、こんなに買ってしまったんだろうと、後悔することもあります。
そして、結局はほとんど袖を通さず、タンスに眠っていたりします。
出来るだけ、無駄なお金を使わないように、なんとか、衝動買いを減らす方法を見つけなくてはいけません。
それから、このお話の中では、とら達はだれがいちばん立派か争います。
でも結局はみんな一緒になって、溶けてバターになって、食べられてしまうのです。
これは、服や身に着けているものを、取ってしまったら、みんな同じであるという事です。
身に着けるものも、肩書も、全部取ってしまえば、みんな同じ人間なのです。
もうひとつ、気がついていないけれども、生活するすぐ近くに危険がひそんでいるという事です。
このさんぼの住むすぐ近くに危険がひそんでいます。
ジャングルにはとらや、他にもこわい動物がひそんでいるのです。
そして、そんなことが当たり前のように日常がすごされていて、特にさんぼの、おとうさんもおかあさんもなにも言わないのです。
もうずいぶん前の事ですが、小学校に不審者が侵入した、大変な事件がありました。
それまで、こどもを学校に預けていれば安心と思い込んでいた私は、ニュースを見て、ぞっとしたのを覚えています。
今は気づいていないけれども、危険な人や物は思っているよりも近くにもたくさん存在しているのです。
特に小さな子供さんの遊び場や、通る道にも、普段から何か変わった事がないか、気をつけてみていなければなりません。
ちびくろさんぼの原作
もともとは、インドに住んでいた、スコットランドの人が、自分の子供のために、書いたものでした。
今では世界中で、愛されているお話です。
読むだけで、色彩がゆたかで、きれいな場面が見えるように浮かんでくるお話です。
日本では、黒人差別であるとの声もあり、一時は、出版社によって自主的に絶版になった。
しかし、別の出版社によって、近年再び出版されている。
まとめ
この『ちびくろさんぼ』の教訓は、見た目ばかり気にして自分をよくみせようとばかりしていたら、それが本当に必要かどうかわからなくなるという事。
そして、人は身に着けているものをぜんぶ取ってしまったら、みんな同じという事です。
それから、この本に関する歴史こそがこのお話の教訓ではないかと思います。