
あなたは、毎日少しでも何もしない時間はありますか?
なにかしていないと、不安になりますか?
人には何もせず、ぼーっとする時間が必要なのです。
『ろくろ首』は自分の帰る所に帰って、リラックスすることの大切さを教えています。
それでは、ここからは、まず、『ろくろ首』のあらすじです。
ろくろ首のあらすじ
回竜というお坊さんがいました。
ある時、山道の途中で日がくれてしまったのです。
回竜は草の上に寝ていたのですが、「もしもし。」という木こりの声で目が覚めたのです。
そして、「ここには人を食う化け物がいて、たくさんの旅人がおそわれました。良かったら、私たちの小屋に来てください。」と言います。
回竜は木こりの後について行くと、粗末な家があり、四人の男と、ひとりの女が住んでいました。
そして、自分たちは、元はみやこで暮らしていたが、人を殺してしまい、山の奥で反省しながら暮らしていると言います。
ですので、回竜は「私もお経をあげて、めいふくをお祈りしましょう。」と言いました。
そして、夕食を頂き、遅くまでお経を読んでいたのです。
さて、回竜は、何気なくとなりの部屋をのぞいてみました。
すると、なんと、首のないからだが五つ並んでいます。
回竜はおかしいと考えて、ふと、ろくろ首の話を思い出します。
なんでも、首ののびるお化けが人を殺して食べるのです。
そして、回竜は、首がもう二度と戻れないように、床板を外して、そこに首のないからだをかくしてしまいます。
すると、外から、生あたたかい風と共に、声が聞こえてきました。
「あのぼうず、まるまる太ってうまそうだな。」
「お経を読まれていては近寄る事ができない。誰か、様子を見て来い。」
すると、女のろくろ首が「坊主がどこにもいません。それに、私たちの体がありません。」と報告します。
「なんだと!からだがなければ死んでしまう。ぼうずを探して八つ裂きにしてやる!」
ろくろ首は怒り、髪の毛は逆立ち、目を吊り上げ、その恐ろしい事と言ったら、回竜も背筋がぞくっとしました。
ろくろ首たちは火の玉のように飛び交い、やがて、回竜を探し当て、回竜ののどもとめがけていっせいに飛んできます。
ですが、回竜はもとは腕の立つさむらいだったので、杖で次々と首をたたき落とします
首たちはさんざん痛めつけられて、やがて、やみの中に消えていきます。
そして、回竜が山の一軒家にもどってみると、血だらけになった五つのろくろ首が、白い目をむいて、転がっていました。
おしまい。
さて、この山の中で起こった本当にありそうな怖いお話の教訓はどんなことでしょうか?
ろくろ首の教訓
このお話の教訓は、人は元の場所にかえることで、本来の姿にもどるという事です。
人も、妖怪も、帰る場所が必要です。
ろくろ首は帰るからだがないと、死んでしまいます。
人も、帰ってリラックスする場所がないと、だんだんと辛くなってくるという事です。
人は、何も変わらないように見えて、他人と接したり、外に出ている時は緊張しています。
仕事をしていたり、学校へ行くことも、自分ではわからないかもしれませんが、大変、緊張しています。
だから、帰って緊張をほぐす場所が必要です。
なので、学校から帰った子供に次々と色々させたり、口を出すのはなるべくしない方がいいのです。
まずは、ただ、ぼーっとしたり、好きな事をしたりして、過ごす時間が必要なのです。
もちろん、受験とかで、勉強しなければいけない時期もありますが、それでも24時間予定を詰め込んでこなすには、限界があります。
人は、ただ、ぼーっとすることで、頭の中の整理をし、次にやる事への意欲をやしないます。
もちろん、睡眠時間も記憶の整理はしているそうですが、それとは違います。
意識的にぼーっとすることは、頭がすっきりしたり、突然いい考えがふってきたりします。
なので、ぼーっとする場所を与えてあげてください。
そして、このろくろ首の落語では、結婚した奥さんが実はろくろ首で、わかって結婚したけれど、もやっぱり気味が悪いので実家に帰りたいと言います。
ですが、実家の母親は、孫ができるのを首を長くして待っているので、どちらにも帰れないというおちなのです。
これも、あっちこっちから、せっつかれて、この人は全くリラックスできなかったのではないでしょうか?
それから、人はリラックスした状態になると、ゆるんで、おもいもよらない事がおこります。
落語のろくろ首のお話しには、結婚した奥さんが夜中になると、スルスルと首がのびてしまうおはなしもあるようです。
そして、昼間の姿か、首が伸びている姿か、そのどちらが本当の姿かはわかりません。
だから、私は結婚する前に一度、一緒に住むことをお勧めしています。
人は自分の家にいる時がいちばんリラックスして、本当の姿が見えてくるからです。
酒乱であるとか、実はマザコンであるとか、夜中に寝ている時にしゃべるとか食べるとか、何か、普段の生活からは考えられないような、びっくりするようなことを、するかもしれません。
まさに正体が現れます。
正体を見て、一緒に生活するのが無理そうだなと思うかも知れませんし、一気に気持ちが覚めるかもしれません。
違和感がなければ、同棲を続けて、いずれは結婚前提のお相手としてお付き合いすればいいし、無理そうなら、やめればいいのです。
そして、もう一つは、本心ではない、心がない人は信用できないということです。
このお話では、からだと首から上が離れて、首だけがお坊さんを食べるために、襲ってきます。
からだと首が離れているという事は、こころととあたまが離れていて、そこには感情がないということが言えます。
まえの上司がいったのです。
「従業員同士の仲良しごっこはいらないから。」
私たちは、仕事中は必要なコミュニケーションを取っているだけなのですが、その上司には必要のない仲良しごっこに見えたようです。
その時の、私たちの仕事の第一は、接客でした。
お客様にはもちろん笑顔で接します。
お客様にはニコニコしているのに、従業員同士ではお互いに怖い顔をしている人を一体誰が信用するでしょうか?
それは、ただのロボットが、お客様だからニコニコするように学習して、見た目だけにこにこするのと同じではないでしょうか?
感情のない仕事でよければ、全部、機械にさせればいいのです。
その方がよっぽど、効率よく、予定通りに働いてくれるでしょう。
でも、忘れてはいけないのが、お客様は機械ではないのです。
ひとりひとりのお客様が、違う事を希望し、好みも、速度も違うのです。
私たちは、機械ではなく人間です。
そして、お客様も、人間なのです。
ろくろ首の原作
このお話は、有名な日本の怪談のひとつである。
甲斐の国(今の山梨)の話と言われている。
ろくろ首は落語でも話されているが、このろくろ首はスルスルと首が延びるタイプである。
人を食うろくろ首は少なく、首がのびる病気であるとか、首がのびて、耳でパタパタ飛ぶ部族もあると、伝えられている。
まとめ
このお話の教訓は、人は元の場所にかえることで、本来の姿にもどるという事です。
それから、本心ではなく、心のない人は信用できないということです。