
このお話は最後まで謎だらけのおはなしです。
ある日あなたの街に、あやしい男がやってきて、困りごとを解決しましょうといいます。
あなたはその人を信用しますか?
『ハーメルンの笛ふき男』はそんなあやしい男のおはなしです。
ここからは、『ハーメルンの笛ふき男』のあらすじを、みていきます。
ハーメルンの笛ふき男のあらすじ
ねずみ退治
ドイツのハーメルンという町の昔のお話です。
その年、この町には、ねずみが大発生し、大変な被害があったのです。
そうして、市長たちは色々考えますが、ちっとも良い案が浮かびません。
すると、1人のふしぎな男がやってきます。
その男はまだら模様の服に、とんがった帽子をかぶっていたのです。
それから、首からはスカーフを垂らし、その先には、笛をさげていました。
そして、そのふしぎな男は、「私は、あちこちの国で動物を退治してきました。ねずみの群れを残らず追っ払ったら、私に千ギルダー頂けますか?」と言うのです。
市長は「それだけでいいのか?なんなら、その50倍!」言います。
ですので、その笛ふき男は、町に出てきて、笛を吹き始めました。
そうすると、ねずみの大群が押し寄せてきて、男を追って進み、みんな川に飛び込み、しんでしまったのです。
そして、町は喜びの声で、どよめきました。
怒った笛ふき男
そこへ、あの笛ふき男がやってきて、「千ギルダーを下さい。」と市長に言ったのです。
町のさいふはすっからかんでしたので、市長も、議員も青ざめます。
それに、そんな大金を、素性も知れない男にやるのはもったいないと思いました。
そして、「お前の手柄ではない。あれは、川のおかげだ。」と、男に伝えるのです。
笛吹き男は顔色を変えて、「ひどい仕打ちをしてやる。」と言いました。
市長は、「かってにいくらでも笛をふけばいいだろう!」というのです。
そして、笛ふきは再び町に出てきて、笛をふきだしたとたん、子供たちが集まって来て、おどりながら、ついて行ってしまいました。
それから、山のふもとにたどり着くと、山肌がさけて、そのほら穴に子供達は消えていったのです。
そして、山肌は閉じ、子供は戻りませんでした。
市長は、笛ふき男を見つけたなら、お金はいくらでも払うと言いまわります。
そして、借りた恩は必ず返そうと誓うのです。
このお話には続きがありました。
後に、ずっと離れた山の奥で、土の中から現れた、奇妙な身なりの人々が発見された。ということでした。
おしまい。
ハーメルンの笛ふき男の教訓
このお話の教訓は、困っている事があるときは特に落ち着いてじっくりと、解決策を考えましょうということです。
人は困っていることがあって、解決できそうな事を提案されると、先の事をあまり考えずに飛びついてしまうのです。
困っていることがあって、悩んでいると、そのことしか考えられなくなり、とんでもない方法を解決策だとおもってしまう事があります。
このお話の中では、あやしい笛ふき男に払うお金もないのに、解決してくれるというので、ついたのんでしまうのです。
報酬を渡すことができないかも知れないのに、自分のしてほしい事は先にやってもらいたいと思ってしまいます。
そして、自分のしてほしい事だけをやってもらって、後から、無理な約束でしたというのです。
例えば、借金を返すために、もっと金利の高い所で借金をして返す事などがそうです。
その時は、それで、解決できたように思いますが、実はもっと借金が増えているのです。
それに、例えば、ある町が、犯罪人が集まる町だったとします。
町の人は、安心して、外も歩けないのです。
ですので、どうにかして、この犯罪者をこの町から一掃してしまいたいと考えます。
ある日マフィアの一員が素性を隠して、犯罪者を一掃してやろうと、町の偉い人に提案します。
町の偉い人は、大変困っていたので、マフィアに頼み、犯罪者たちを始末さすのです。
しかし、マフィアは最初に約束した、報酬では満足せず、「犯罪者を始末させたのはあなたたちだから、殺人者も同然ですよ。」と、おどしてきます。
町の偉い人は町を守る事に必死でしたので、その時も先の事を考えず、お金をずっと払う事を約束してしまうのです。
後にこの町はマフィアがはびこり、思う通りにされてしまいました。
そして、もう一つ、自分達だけの都合で、自然の摂理に反した事をして、そのままゆるされる訳はないのです。
ねずみが繁殖するにも理由があり、動物は時に大繁殖して、えさがなくなると、たくさん死んで、数が戻るという事があります。
なぜかはわかりませんが、昔からそうした事を繰り返しているのです。
そういう自然な事に反して、ねずみをぜんぶ殺してしまう事はきっと、どこかにひずみが起こってしまいます。
そして、何か反動があるかもしれませんよ。というおはなしです。
このお話の中では、大事な子供が全部いなくなってしまいます。
ねずみがすべて、死んでしまって、命をつないで行けなくなったのと同じように、こどもがいなくなって、この町も存続できなくなってしまったということでしょう。
ハーメルンの笛ふき男の原作
ドイツの町、ハーメルンで、起こったとされる出来事を、グリム兄弟や他の作家たちが記録に残しました。
この話の後の話は様々あります。
日本で伝わるお話では、後に市長があやまって、子供を返してもらった話や、子供達は意地悪な人や、うそつきがいない幸せな国に行ったという結末が描かれているのです。
まとめ
『ハーメルンの笛ふき男』の教訓は、困っている事があるときは特に落ち着いてじっくりと、解決策を考えましょうという事です。
子供達はいったいどこへいったのでしょうか?
笛ふき男の目的は本当にお金だったのでしょうか?