
世の中は日々便利になります。
携帯電話や、パソコンや、早ければ当日に到着する宅配便などもそうです。
でも、それらも手に入れてしまえば、ただの当たり前になってしまいます。
人はどこまで求め続けるのでしょうか?
『マッチ売りの少女』のお話は幸せと豊かさについて、教えてくれています。
それではあらすじから読んでいきましょう。
マッチ売りの少女のあらすじ
かわいそうな女の子
雪が降っていて大変寒い大晦日に、一人のみすぼらしい少女が、裸足で通りを歩いていました。
今日は一日中誰もマッチを買ってくれませんでした。
少女は、お腹がすいている上に、寒さに震えながら歩きます。
たくさんある窓から明かりがさしてきて、ガチョウが焼ける良いにおいが漂ってきたのです。
少女は家と家との間の、へこんだところにうずくまりました。
でも、やっぱり、寒くなるばかりでした。
そして、それでも少女は、家に帰ろうとしませんでした。
それは、マッチがちっとも売れなくてお金を一文ももらっていないので、きっとお父さんにぶたれるからです。
炎のあたたかさ
少女の手は寒さでもうほとんど何も感じません。
そこで、少女は一本のマッチを壁にこすります。
そして、少女はその周りに手をかざします。
少女にはまるで、ストーブの前にいるようにかんじられました。
それから少女は足もあたためようと、そっと伸ばします。
すると、そのとたんに、炎は消えてストーブもきえてしまったのです。
そして、新しいマッチをこすりました。
少女が壁を照らしてみると、壁が透き通り、テーブルの上には、焼きガチョウが湯気を立てているのです。
しかし、その瞬間、マッチが消えてしまい、冷たい壁に戻ってしまいました。
少女は新しいマッチを燃やします。
すると今度は、とてもきれいなクリスマスツリーの下に座っていました。
たくさんのろうそくが緑の枝の上で燃えています。
なので、少女は思わず、手を伸ばしますと、マッチの火は消えてしまいました。
そして、たくさんのクリスマスツリーのろうそくのあかりは、高く昇ってゆきます。
それから、そのあかりのひとつが飛んで行って、長い光の線を引きました。
「誰かがなくなるのね。」と少女は言います。
なぜかと言うと、もうずっと前になくなった、少女のおばあさんが、星が落ちると、誰かの魂が神様のところへめされるんだよと教えてくれたのです。
優しいおばあさん
少女はまた、マッチをこすります。
そうすると、周りがぱあっと明るくなり、その光の中に、おばあさんが立っているではありませんか!
「おばあさん!」と少女はさけびました。
そして、「わたしを連れて行ってちょうだい!」と言って残りのマッチを全部こすりました。
それは、おばあさんを引き留めておくためです。
そうすると、おばあさんは少女を腕に抱きあげ、2人はしあわせな光に包まれて、高く高く昇っていったのです。
少女はもう、寒いことも、お腹がすくこともありません。
あくる朝、小さな少女が、死んでうずくまっていたのです。
しかし、その口元には微笑みを浮かべていました。
おしまい。
よく知られるお話ですが、作者は何を伝えたかったのでしょうか?
マッチ売りの少女の教訓
『マッチ売りの少女』の教訓は幸せの基準は人それぞれである。ということです。
この少女は周りから見ると、不幸なように思うのですが、本人はそんな風には思っていなかったのかもしれません。
お話の中では、少女は大みそかのとても寒い日に、マッチを売りに行かされます。
そして、マッチも全く売れず、そのまま帰れば、父親にぶたれるのです。
それに、家に帰っても貧乏で、寒くて、ご馳走も何もなく、がちょうなど、食べたこともありません。
それから今まさに、凍えて死にそうになっています。
それでも、このお話の作者は、少女はおばあさんが迎えに来てくれて、もう食事の心配や、寒さの心配や、父親にぶたれる心配をしなくてよくなった。と書いています。
この少女は自分の境遇をうらんだりせず、ご馳走やきれいな物にあこがれるだけで、不平等言わなかったのです。
反対に、はたから見ると充分に幸せなのに、本人は不幸だと言う人もいます。
もちろん、精神的なことか、物質的なことか、人によって、求める幸せは違います。
例えば、私の知り合いに東南アジアの方がいるのですが、日本から自分の国に仕送りをしながら働いていて、確か2,3年で、自分の国に大きな家が建ったそうです。
そして、大変田舎なので、畑で日々食べる物を作り、時々働けば、その国でいう標準の生活はできるそうです。
その地域の人たちはその生活が幸せだと考えられます。
もしかしたら、私たちの生活よりも、その地域の人のほうが、豊かで幸せなのかもしれない。と思ったことがありました。
便利になればなるほど、便利が当たり前になって、その便利を手に入れるために日々働くのは、本当に豊かで幸せなのでしょうか?
何が幸せか、何が豊かかという基準は人それぞれで、周りの人が見て、決められる事ではないけれども、もう一度幸せや豊かさについて、考えてみなければ、いけないかもしれません。
マッチ売りの少女の原作
デンマークの童話作家=ハンス・クリスチャン・アンデルセンの創作童話です。
靴職人の父親は早くに亡くなり、貧しい子供時代をすごしたのです。
そのため、初期の作品には、貧困をあつかった物語が多くあります。
若いときから物を考え、想像するのが好きで、詩人でもありました。
このお話の少女はアンデルセンの母親を元にして、書いたという説もあります。
まとめ
『マッチ売りの少女』の教訓は、幸せの基準は人それぞれで、周りの人が決められることではない。という事でした。
私は、今の便利な生活は、もちろん捨てることは難しいです。
けれども、昔の不便でのんびりも懐かしくていいなあと最近よく思います。