
あなたは、人との距離を気にしたことはありますか?
人との距離は広くとる方ですか?それとも近い!と言われる方ですか?
このお話はぎゅうぎゅう詰めになるお話です。
そして、当たり前のようで、当たり前でない不思議なお話です。
さて、ここからは、てぶくろのあらすじです。
てぶくろのあらすじ
おじいさんとこいぬが森を歩いていました。
歩いているうちに、おじいさんはてぶくろを片方落としてしまいます。
そして、気がつかず、そのまま行ってしまったのです。
すると、ねずみがてぶくろを見つけて、もぐりこみ、そこで暮らすことにしました。
そこに、かえるがはねてきて「てぶくろにすんでいるのは誰?」と聞きます。
すると、ねずみは「わたしはくいしんぼねずみよ。あなたは?」と尋ねました。
「ぴょんぴょんがえるよ。わたしも入れて」
「どうぞ」
次はうさぎが走って来て、てぶくろに住んでいるのは誰かたずねます。
すると、「くいしんぼねずみとぴょんぴょんがえる。あなたはだあれ?」というのです。
「はやあしうさぎ。ぼくもいれて。」
「どうぞ。」
次にきつねがやって来て、てぶくろに誰が住んでいるか尋ねます。
「くいしんぼねずみと、ぴょんぴょんがえるとはやあしうさぎよ。あなたは?」
「おしゃれぎつねよ。私も入れてちょうだい。」
これで4匹です。
次はおおかみがやって来ててぶくろに誰が住んでいるか尋ねるのです。
「くいしんぼねずみとぴょんぴょんがえると、はやあしうさぎとおしゃれぎつね。あなたは?」
「はいいろおおかみ。おれも入れてくれ。」
その次はいのししがやってきました。
そして、てぶくろに住んでいるのは誰か尋ねるのです。
「くいしんぼねずみとぴょんぴょんがえると、はやあしうさぎとおしゃれぎつねとはいいろおおかみ。あなたは?」
「きばいのしし。わたしも入れてくれ。」
「もう無理じゃないですか。」
でもいのししは無理やり入ってきました。
てぶくろはぎゅうぎゅうづめになります。
その時、くまがやって来て、てぶくろに住んでいるのは誰か尋ねました。
「くいしんぼねずみとぴょんぴょんがえると、はやあしうさぎとおしゃれぎつねとはいいろおおかみときばいのしし。あなたは誰?」
「のっそりぐま。わしも入れてくれ。」
「もう満員です。」
「いや、どうしても入る。」
くまは無理に入りましたが、てぶくろは今にもはじけそうです。
さて、おじいさんはてぶくろが片方ない事に気がついて、探しに戻りました。
そうすると、こいぬは先にてぶくろを見つけます。
でも、てぶくろはなんだかむくむく動いていたのです。
ですから、こいぬはわんわんと吠えます。
すると、みんなは、あわてて逃げて行きました。
おしまい。
てぶくろの教訓
このお話の教訓は、私たちが無理だと思っている事は実は思い込みである事が多いという事です。
世の中では無理だと思っていた事が、実はできてしまって、あれっ?と不思議に思う事も実は勝手な思い込みのせいである事があります。
このお話の中では、てぶくろの中に入るにはとても無理そうな動物がたくさん入るのです。
「今にもはち切れそうです。」どころの話ではありません。
くまやいのししが、てぶくろの中に入ります。
そして、最後には、こいぬが見つけた時にむくむく動きます。
考えてみると、大きさが明らかにおかしいのです。
でも、このお話では、てぶくろに7匹の動物が無理やりにでも入ってしまいます。
もしかしたら、私たちが当たり前だと思っている事が当たり前ではないのかもしれません。
例えば、子供が絵をかくときに、太陽を緑色で、空の色を黄色にぬったとしたらどうでしょう?
太陽はオレンジ色とか赤色で、空は水色か夕焼けの時は赤っぽいのじゃないかなあ?と思うかもしれません。
ですが、実は空の色はたまたま波長の短い青や紫の光が空気中の水分やほこりに反射するので、青い色に見えているだけです。
ですから、もともと色というのは反射した光が目に入って見えているものなので、本当は色なんてついていないかもしれないのです。
なので、本当の色はこんな色だなんて、誰にも決める事はできません。
そのことと同じように私たちが思い込んでいる事でも実は本当かどうかわからない事がたくさんあるのです。
もうひとつは、人との距離です。
このお話では、次から次へと、てぶくろの中に自分も入れてと動物がやってきます。
中には普段ならお互い一緒には暮らさないもの同士も一緒に小さな手袋にぎゅうぎゅうに入らなければならなかったのです。
きっと、お互いにとても気まずい状況でしょう。
人には防衛反応が働く距離というのがあって、それより相手が中に入って来ると、不快に感じるのです。
相手によってもその距離は違います。
知ってる人、親しい人では、近くに寄って来られてもある程度までは平気です。
反対に知らない相手との距離は遠くなります。
人によってもその距離は違うのです。
例えば知らない人が、話しかける為であってもいきなり近くまで寄って来られたら、距離を置くために離れます。
ですが、例えば私は接客業をしていて、お客様に対して、正面からはそんなに近づきませんが、服を脱いだり着たりするのを手伝って、後ろや横の方から服の裾を直したり、襟を直したりします。
その他に、お客様の身体のサイズを測ったりするのです。
そうすると、不思議と大体のお客様は、その後、私に少し親しみをもってくれて、前よりも話してくれるようになるのがわかります。
ですから、相手と親しくなるために、相手が不快にならない程度に、テリトリーに入って行くのも一つの方法です。
もしかしたら、勝手に脳が親しい人だと勘違いするのかもしれません。
これはその時の状態によるので、注意が必要ですが・・・
そしてもうひとつは、このお話を読んで思い出したことです。
私の好きなドラマで「靴下を片方なくしてしまって、もう片方はもういらないと思って捨ててしまった途端、いくら探してもみつからなかった片方の靴下がみつかる。」というセリフがありました。
なんでもない日常の出来事なのですが、「世の中はなぜかタイミングが合わずにうまくいかない事が多い。」
「物事は必死で追っかけている時には手に入りませんが、あきらめた途端に思いがけず、手に入る事がある。」いう事です。
恋愛でもそうですが、仕事でも必死に周りに認めてもらおうと、無理して頑張っている時は空回りしがちですが、ある時ふと「まあ、いっか~。」と力を抜いて周りが見えるようになった途端に、欲しかったものが思いかけずに手に入ったりするものです。
てぶくろの原作
ウクライナの民話です。
繰り返しが好きな子供は、手袋に住んでいるのはだれ?と聞かれて、「くいしんぼねずみとぴょんぴょんがえると、はやあしうさぎと・・・」と繰り返し答えるのがとても楽しいようです。
まとめ
このお話の教訓は、私たちが無理だと思っている事は実は思い込みである事が多いという事です。
もうひとつは、人との距離でした。
冬に読むとぬくぬくと幸せな気分になるお話です。