
このお話は、あまりにも有名なお話で、みんなに読まれています。
というと、「私も読まなくっちゃ。」と思う方も多いと思います。
そんな心理についても書いてあるお話です。
そして、独特の世界に入り込んで浸るのが楽しいお話です。
それでは、注文の多い料理店のあらすじから見ていきましょう。
注文の多い料理店のあらすじ
2人の紳士が大きな犬を2匹連れて森の山奥に猟をするためにやってきました。
「ここらの山は鳥もけものもおらん。なんでもいいからはやく獲物をしとめたいものだな。」
そこは、大変山奥で、案内の鉄砲打ちもどこかへ行ってしまいました。
それに、あんまり山がすごいので、2匹の大きな犬はめまいをおこして、死んでしまったのです。
ですので、2人の紳士はおなかもすいてきたしもう帰ろうと相談します。
ところが、一体どっちへ行けば、戻れるのか見当もつきません。
その時、ふと後ろを振り向くと立派な西洋作りの家があります。
そして、玄関には「西洋料理店 山猫軒」と書いてありました。
2人はお腹が大変すいていたので丁度いいと、建物に入る事にしたのです。
入り口のガラスの戸には、「どなたもお入りください。えんりょはいりません。」と書いてありました。
そして、ガラスの戸の内側には、「ふとった方や、やわらかい方はだいかんげいです。」とかいてありました。
ですから2人は「僕らは両方だから。」と大喜びです。
廊下を奥に進んで行くとまた扉があって、「注文の多い料理店ですが、ごしょうちください。」と書いてありました。
2人はそれを読んで、注文が多すぎて、手間取るのを謝っているのだと思うのです。
その奥にも扉があって、鏡とブラシがおいてあり、「ここでかみをきちんとして、くつの泥を落としてください。」と書いてあります。
それには2人も、「作法がきびしい店なんだ。偉い人が通っているに違いない。」と思うのです。
そして、次は「鉄砲と玉を棚に置いてください。」その次は帽子と上着、その次は眼鏡、ネクタイピン、金属類を置くように書いてありました。
2人が言う通りに進んでいくと、今度はクリームを顔や手足に塗るように書いてあったのです。
それで、2人は寒い所から暖かい所に入ると、ひび割れがおこるのでそのためにクリームを塗るのだと考えます。
ですが次には「料理はもうすぐできます。あなたの頭に瓶の中の香水を振りかけてください。」と書いてあったので振ってみますと、その香水はどうやら酢のようでした。
次に「いろいろ注文が多くてお気の毒でした。最後に塩を体中にもみこんで下さい。」と書いてあります。
ですからさすがに2人は自分たちが食べられようとしている事に気がつき、ガタガタ震えだすのです。
そして、逃げようとして、うしろの戸を押しましたが、全く動きません。
前の戸にはフォークとナイフの形の穴から青い目玉がのぞいているのです。
そして、中からは「はやくいらっしゃい。後はあなたたちを白いお皿にのせるだけです。」と声が聞こえます。
それを聞いて2人はますます怖くなって泣き叫びました。
その時、うしろから、あの大きな白い犬が扉を突き破って入ってきます。
それから犬たちは前の扉に飛び込みました。
すると、「にゃお!ぐわあ!」と声がして、部屋はあっという間に消えてしまいます。
気がつくと上着や靴やメガネはあっちこっちの枝に引っかかっていました。
そこに案内の鉄砲撃ちの声がして、2人は無事に帰りつけたのでした。
おしまい。
注文の多い料理店の教訓
このお話の教訓は、他の人がたくさんいると安心して、自分もその中に入ろうとすることです。
このお話では、料理店の建物が立派で、注文が多い事を誤解して、「偉い人が沢山通っているに違いない。」と考えたので、だまされて廊下の奥の方に入って行ってしまったのです。
2人は自分たちだけではなくて、この料理店には他にもたくさんお客がいると思ったから奥に入って行ったのです。
人は、自分と似た境遇の人が、同じ事をしていると思うと、その事は自分にも合っていると思い込みます。
例えば、インターネットで買い物をした時に、「その商品を買ったお客様は他にこんな商品も注文されています。」と次々に商品の案内が出てくるのです。
これは、自分の仲間が沢山同じ反応を示していると思う事で、そのように案内された商品を買う人がいるからです。
そして、もう一つの教訓は、何かに夢中になって、周りが全く見えなくなっている時に、周りの人の声を聞くように努力することは大事です。
このお話の中では、2人は山猫にだまされて、どんどん入り込み、自分がどこにいるのかもまったくわからなくなり、戻る事も出来なくなってしまいました。
そこに、死んだと思って放って来た犬によって、正気に戻る事ができたのです。
物事に入り込みすぎて、周りが見えなくなることは、経験があるかもしれません。
誰かを好きになって、どうやって自分に振り向かせようか必死になる。
ギャンブルで、なくなったお金をいかに取り戻すか必死になって、余計にお金がなくなる。
SNSでたくさんのフォロワー増やしたり、いいねをもらう為に必死になる。
などで、自分でもわからずに入り込んでいる状態があげられるでしょう。
そういう状態の時は、自分の考えにこだわりすぎて、周りの意見など聞きたくなくなる事は多いと思います。
しかし、どこかでこのままではいけないと気がついているのです。
そんな時に、冷静な周りの人が、言ってくれる一言が入り込んでいる世界から抜け出せるきっかけになるかもしれないのです。
反対に、入り込んで集中することで、自分を信じて行動し続けることで、最終的に何かを成し遂げる事ができる人もいます。
入り込む方向で、人は良い方向と悪い方向へと向かってしまうのです。
そして、このお話を読む事自体の教訓は、少しでも現実からはなれ、物語に入り込み、主人公と一緒にだまされて期待とドキドキと不安とほっと安心する感覚に浸りましょうという事でしょう。
さて、このお話は誰でも知っている宮沢賢治によって書かれました。
注文の多い料理店の原作
1924年に短編集として、「イーハトヴ 注文の多い料理店」という題で刊行されるが、値段が高かったためにほとんどが売れ残ってしまった。
この短編集には、「どんぐりと山猫」も収録されている。
宮沢賢治は詩も書いていて、「永訣の朝」「雨ニモマケズ」が有名です。
まとめ
このお話の教訓は、自分と似た境遇の人が、同じ事をしていると思うと、その事は自分にも合っていると思い込むという事。
そして、何かに夢中になって、周りが全く見えなくなっている時に、周りの人の声を聞く努力をする事は、大事であるという事です。
私も「この商品を購入された方はこの商品もいっしょに買っています。」というのには、とても弱いです。